にしのひがしの

小説家志望の24歳女が本の感想を書いてゆくブログ。

告白(映画)感想・批評比較・分析

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原作未読です。ざっくり言うと、あまり良いとは思えませんでした。引き込まれはしなかった。

 

ディープラブとか山田悠介を支持してた小学生高学年〜中学生がメイン客層な気がします。もっと本格ミステリかと思ってたので意外でした。
映画全体としては「リリイ・シュシュのすべて」(2001)と「女王の教室」(2005)を足して2で割って劣化させたような感じ。

 

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(「女王の教室」のメインビジュアル、冷たい雰囲気の女性教師が一人で大写しになっているところが似てますね)
これ2010年公開らしいんですが、7年前って高校生とかまだガラケーだったのか…じ、時代を感じる…。
学生たちの群像劇で、クラス内でのカーストとか、いじめとか、「桐島、部活やめるってよ。」(2012)みたいなものをめざしたけど作れなかった印象がすごいです(私は「桐島〜」はすごく好きです。吉田大八監督の作品はどれも傑作だと思います)。原作がポンコツすぎるせいじゃないかとは思うのですが。

 

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映像作品としての質は高いなと感じます。特に橋本愛がいいです。本当に綺麗で存在感がある子で、お肌もツヤツヤ目も迫力があって美しい。芦田愛菜も可愛くて天使みたいだ。音楽も良いし(ダウナー系の女性歌手の歌とか使っててリリイ・シュシュの既視感はあります)、毒殺犯に憧れる女の子と天才の男の子との戯れ合いのシーンとかすごくいいなと。爆破シーンの逆モーションとかも、教室の硬質な光なんかも、もっといい映画なら痺れたのかもしれない。

諸批評


見終わった後ざっと評判をググってみたんですけど、賛否両論だったんですね。知らんかったわ。

ojisan777.net

この映画は実は賛否両論あって、評価が割れている。公開された年の興行収入では第7位を記録して、日本アカデミー賞では4冠を達成しているのだが、映画雑誌「映画芸術」では2010年に公開された映画のワーストワンの映画であるという位置づけであった。

このワーストワンの理由とは、松たか子が淡々と語る長いセリフの部分が映画的ではないというところだそうだ。確かにこの映画は松たか子始めキャラクターが、BGMをバックに淡々とセリフを語っていき、また映像もテレビのコマーシャルの様な映像を流す手法がとられている。(これは実際に見ていただければ納得いただけるだろう)それが始めから最後まで貫かれている。斬新ではあるのだが、そこが評価されなくてのワーストワンという事らしい。

 

 公開当時の2ちゃんのログなんですけど、ここでもだいぶ評価が割れてることがわかり、興味深いです。

www.logsoku.com

 

 

10 : エビ男(西日本)[sage] 投稿日:2011/01/23(日) 01:23:57.54 ID:Bsd697qo0 [1/1回(PC)]すごい痛快だったけどな
これぞダークヒーローっつう感じだった

 

14 : リョーちゃん(dion軍) 投稿日:2011/01/23(日) 01:26:19.31 ID:GSuGLu2SP [1/1回(p2.2ch.net)]評論家()は取りあえず話題になった物は叩く。
それによって「一般人とは違う」というのをアピールする。

 

40ばら子ちゃん(不明なsoftbank)[sage] 投稿日:2011/01/23(日) 01:47:37.79 ID:BfxWHRr60 [1/1回(PC)]俺は凄く面白かった。
後々ワースト1に選んだ雑誌や批評家の方に逆に傷が付くし汚点が残るよコレ。
ぱ悪には悪で対抗するしかなく、DQNは何処まで行ってもDQNってのを実感させられる映画。

 

42雪ちゃん(東京都)[sage] 投稿日:2011/01/23(日) 01:48:05.29 ID:QpElOv7V0 [1/1回(PC)]・言うことを聞かないくせに、牛乳は温和しく飲む中学生たち
・エイズ感染してるもしれない殺人者を、不気味がらずにいじめの対象にできる中学生たち
・エイズ感染してるもしれない殺人者を、当局に通報しない中学生たち
・そんな殺人者にエイズウイルスを飲ませて殺害しようとした教師も通報しない中学生たち
・クラス全開でイジメてるのに、全く気づかない教師たち
・チャックに触れただけで電流が流れる意味不明な防犯グッズ
・そんなものが発明コンクールで優勝して、あまつさえ大事件が起こった日の新聞の社会面に掲載
・モザイクが外れるAVのDVDと、いまどきそんなものを有り難がる中学生たち
・いまどき大学で電子工学wを研究してる優秀な女博士
・ブログに実写動画で犯行動機UPしてるのに、松以外誰も見てない件
・そんな美味しそうなブログを、早速祭らないν即民たち
・爆弾作りで一番難しい、ビルが吹っ飛ぶくらいの強力な爆薬をあっさり調達する中学生
・足元の爆弾をわざわざ携帯で起爆させる必要性
・母親が死んだと電話で告げられたら、確認もせずに号泣して鼻出血

 

72 : ハッチー(関東・甲信越) 投稿日:2011/01/23(日) 02:29:01.29 ID:y+LKFz4NO [1/2回(携帯)]つうか「告白」を褒めちぎってるのはまともに映画とか読書とかでカタルシスを得たことがない文化的情弱。「告白」っていう映画は、中島哲也のリトマス紙的な映画で観るものによって評価が代わるという意見がある。
シネフィル的な人達には評価が低い、ベタ誉めしてるの普段まったく映画も本も読まない連中がセンセーショナルな内容に騒いでるだけ。

 

84DD坊や(千葉県)[] 投稿日:2011/01/23(日) 08:12:39.24 ID:IIB2UkJL0 [1/1回(PC)]悪い意味で日本的な映画
まるで土曜21時の安いドラマを見てるような感覚
中高生やライト層に受けそう
世界からの評価は得られないだろう

 

褒めてるブログ

movie.maeda-y.com

 

numbers2007.blog123.fc2.com

「そうしたら、スゴク良く出来ているというか、映像とか素晴らしいし、斬新な感じだし、話もスゴク面白い。というか興味深い。それでなんというのかな…映画を観ているとき、自分の思う『こういう風にしちゃうと、別の意味になっちゃうじゃん』『話がまとまんないじゃん』『ここオカシイじゃん』とか、『この撮り方ないじゃん』『ご都合主義じゃん』とかが無いんです」
「すごく良く出来ているし、出てくる人の性格とかも『こういうヤツなんだ』『腹立つわ』とか思うんだけど、あまりに出てくるヤツが全員腹立ってくる、キライというか…だから、すごい正しいことだと思うんです。要するに、『清々しいほどこの映画に出てくるヤツ、全員キライ』って思うし、嫌なヤツがいっぱい出てくるストーリーだから、それで良いんだけどね。狙い通りなんですよ」 

「『告白』って映画が、俺は嫌いでしたね。ダメ、とかツマンナイとかじゃないんです。すごい面白かったし、すごい興味深かったんだけど、俺がとてもキライだったもの、みたいなものがあまりにキチンと描けているから、ホントに最後まで観て、『うわ~ぁ…もう観たくない』って思いましたね」

  

 

ameblo.jp

82点

(中略)

でも、まぁ、良いんですよ。僕的には自警団モノの亜流というか、ジャンル映画だと思ってるので、勢いがあって面白いから全然OK。

 

貶してるブログ

www.tadamonkugaiitakute.com

 

blogs.yahoo.co.jp

 ぼくは「告白」という映画が嫌いです。2010年のワーストだと思ってます。そのくらい嫌いです。(ちなみに封切作品は年間6,70本ほど見てます)
 
 アバターも酷かったでけど、あれは害のないつまらなさだと思うんで別にどーでもいいんです(見終わった直後には金返せと思ったけど)。告白はアバターとは全く異なる次元で嫌いなんです。害悪とすら思ってます。

 

 

d.hatena.ne.jp

さて、今回は本当は、中島哲也「監督」の「映画」というふれこみの『告白』という、CMもどきの単なるかっこよさげで意味を欠いた薄汚い映像の羅列について語るつもりだったが、もう面倒くさくなったからやめる。

 

私なりの分析

レビューに目を通していくと、褒めている人・貶している人のざっくりした傾向が見えてきます。褒めているレビューで取り上げられるのは映像表現の美しさ、松たか子を始めとした俳優陣の演技、原作や映画のテーマ性を褒めている。一方、貶しているものでは設定・脚本のお粗末さが指摘されていたり、また、これ見よがしの映像表現が鼻につくんじゃというものもありました。

私は賛否でいうと否より、です。映像表現の目新しさ、美しさはあるのかもしれないけど、私は映像畑の人間じゃないから専門的なことはよくわからない。公開から七年も経つと、このくらいの綺麗さって結構いろんな映画で見れるようになってきている感じもする。学校で「命」について考えるということをテーマにした作品は結構作られてるので、題材にそこまでセンセーショナルと思えなかったというのはあるかも。(例:「先生を流産させる会」(2012)、「ブタがいた教室」(2008))

他洋画だと、私が見たことあるのだと、「エレファント」(2003)には、米コロンバイン高校で起きた実際の銃乱射事件に基づいて、犯人の少年の視点から高校生活を描かれています。血しぶきなども描写していることからR15指定を受けていたり、心象的な映像表現が多く見られるなど、「告白」と似た点があります(「告白」も血液などの暴力的表現からR15指定)。また、どちらにおいても主人公に共犯者となる同性・同年代の少年がいたこと、犯人の少年が、異性・同性双方とキスするシーンがあること、クラスでもあまり目立った存在ではないこと、なども、共通点です。私は「エレファント」はすごく好きです。

湊かなえが「エレファント」を参照して小説を書いたかはわかりませんが(多分偶然かな)、見比べてみると面白いかもしれません。どちらかというと、湊かなえ自身が少年犯罪について調べた中で、無意識に断片的な情報が紛れこんでしまったというのが近いのかも。本当に資料として参照していたなら、もう少し作品自体が作り込まれたものになった感じがします。特に橋本愛の存在とか、もっと違ったものになったような気がするんですよね。

 

www.nicovideo.jp

 

映画「告白」における私があまり良いと思えなかったところを、思いつく範囲で書いて見ます。

  • 「母親の愛に飢えた命の価値を知らない少年が殺人を犯す」という設定の安直さ。
  • 展開があまりに安直であること。(「少年犯罪だから大丈夫」・「HIV患者の血液を飲んだら感染して絶対に死ぬ」のような「公式」が未熟)
  • 「バカ」という言葉が軽々しく使われることが厨二感を掻き立てている。
  • 全ての人間の精神年齢・思考回路があまりに同列・似通っており、登場人物がガワだけのハリボテであるような感じがすること。
  • 最後の「なーんてね」等「読める」セリフが多い。
  • 大人(親・教師)が役立たずすぎる。
  • 全体的に人命が軽々しく扱われすぎ。

いくら映像表現がいいと言っても、やはりこのへんのところが解消されなければ、映画として素晴らしいとはいえないように思います。個人的には「告白」はやっぱり、映像表現としては満点なのかもしれないけど、脚本としてはお粗末である、という感じの結論を出したいですね。

とある記事では、「告白」が受けたのは時流にあっていたからというのがあり、それは結構あるのかもしれません。「デスノート」の残滓がまだ残っていたり、「悪人」が同年公開しているなど、犯罪者視点の表現が受けていた頃なのな。(「悪人」のコピーが「なぜ、殺したのか。なぜ、愛したのか。」というのも考えさせられるものがあります、「告白」とコンセプトが似てるのかも)

 

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短めにしようと思ったんですけど、思いのほか掘り下げ甲斐があり、結構長めの記事になってしまいました。良い傾向である。

今回もお読みいただきありがとうございました。