にしのひがしの

小説家志望の女が本の感想を書いてゆくブログ。

昔みた映画のレビューをまとめてみる・上

 

思うところあってFilmarksから鑑賞メーターにレビューを移転します。それで、鑑賞メーターだと文字制限があって、書いたのが削れてしまうので、こちらに記録をまとめがてら、感想全文を残して置こうと思います。2年前〜ブログを始める前辺りに見たものです。

なお、基本ネタバレの内容になります。気にしない・大丈夫な方だけご覧ください。

 

 

シャイニング  
シャイニング (字幕版)
 

 

好き…ではないんだけど、すごく印象が強い映画です。有無言わさず持ってかれる感じというのか…前半少しダルいですけど、面白いです。
あと、家族の顔がみんな怖くて怖くて…。男の子すごく可愛いけどめちゃくちゃ怖い。部屋のなかにいた女の人と父親の絡みが凄い印象に残ってます。あと赤い廊下をおもちゃの車でキコキコしてるところとか、最後の迷路とか。
終わりかたが怖くなかったのが意外でした。
レッドラムのシーンと、部屋行ったらジャックが寝てなくて起きてるシーンが一番ヒヤッとした…かも。息子が寝てると思ったら目かっ開いてるのもめっちゃびびった。バーのカウンターでぎゅるんぎゅるんジャックの表情変わるのも怖い。大体怖い…。不協和音とかテルミンみたいな音仕事しすぎでしょ。カメラワークも凄みを感じた。
有名なジャックは気が狂うのところはそんなに怖くなかった、ただいつから狂ってたのかわからなかったのが気になった。来たときからずーーっとアレ書いてたならめっちゃ怖かった。
ラストシーンが謎い。

 

悪魔のいけにえ


 女の子が二人ともとにかく綺麗でエロい…サリーが顔歪めて絶叫する姿が美しすぎて見とれました。あんないい叫びっぷりならそりゃニマニマしちゃうわーとも思ったw
前半ポンポン死んでくとこと、兄弟が三人出てきてからはそんな怖くなかったです。やっぱ夜や朝にレザーフェイスから逃げ惑ってるときが一番怖かった。。最後に助けられたとこも、運転手も兄弟なんじゃ…とか不安になってました。なんだかんだ助かったのが意外でした。
ラストシーンでチェーンソー振り回してぐるぐる回ってるのが、なんか綺麗で印象的です。あれで〆なのがセンスを感じます。
あとおじいちゃん100パー死体と思ってたら普通に生きててびっくり。
家のなかがグロいんだけど、骨とかの配置がなにげおしゃれでもありました。

 

時計じかけのオレンジ

 

序盤でドン引きして一回見るのやめました。
教授と会話~猫嬢~靴なめまでは面白かったです。ただ因果応報的なシーンはワンパターンで退屈に感じた。この映画の肝はこの途方もない屑(顔よし頭よし度胸あり教養あり変な気持ち悪い美意識あり)に待ち受ける結末に気を揉んで、罰されて欲しいんだけどそれだけじゃつまらないとかいう気持ちがせめぎあうところなんじゃないだろうか。
彼を憎んでる人のほうが彼のことを理解していて(看守とか間借り人とか)、称賛したり騙されたりしているひと(両親、牧師、大臣)は本当の彼なんてこれっぽっちもわかってないのが皮肉だと思いました。
変な町?で女の子二人ナンパして、セックスが高速で流れるシーンが何故か一番好きかも。あと勾置所みたいなとこで拷問受けてるシーン。鼻血の赤と青い目のコントラストが綺麗で色っぽかった。
猫嬢の部屋やばすぎて頭おかしい。途中からやっとこれ近未来の話なのか…?って気づきました。
やっぱり昔の文学だなーって感で埃かぶってるところもあったので、現代版リメイクが見たい。処罰法とか世論とかオチとか復讐法とかもっともっと凝ってほしい。

 

 

天才スピヴェット

 

最高でした!!
細かいことは気にしない
キャラクターと音楽と景色と演出と気の効いた台詞だけで十分楽しめる
めちゃくちゃハッピーエンドで幸せな気持ちで終われます
T.Sくんがとっても可愛いです
小さい体と鋭すぎる頭脳とセンシティブなハートで頑張るお話
お姉ちゃん役はキックアスの子かな?テレビに出るT.Sに泣いちゃってるのがそれっぽくもあり可愛い
ちょっとウザい端役にまで愛がこもったエンディングも粋
一番笑ったのは看板になりすまして見回りの人をやり過ごすところです
子供から大人までおすすめだと思います
本当に素敵な映画でした

 

ばしゃ馬さんとビッグマウス
ばしゃ馬さんとビッグマウス [DVD]
 

 

随所にリアリティとユーモアがちりばめられててそこは楽しめた。最初の方でファミレスのおばさん店員が椅子?にぶつかってくのすごい好き。
夢を叶えるのではなく、夢を諦める話だった。
なぜ天童が馬渕に惚れたのかよくわからないこと、天童や馬渕の作品のレベルはどの程度だったのか(本人的には真摯にやって来たようだが、老人ホームの話では元カレへの気持ちが影響したためなのか恋愛要素が強すぎると言われている)、天童の才能はプロから見てどうなのか、食っていけるほどなのか、などがはっきり示されず不燃焼感が残った。
最後のロングショットもなんか月並みだし、もっと一波瀾あったら面白かったんじゃないか。
天童の飄々とした感じや、馬渕のキリキリした感じにはリアリティーがあった。シナリオスクールの雰囲気も、一歩先に進んだ仲間を祝うと同時に妬む気持ちもすごく出てて、ベタベタドロドロしていた。
一人一人が自分のことは特別ですごいと思っていて、でも自分以外の人間からすれば別に取るに足らないようなただの凡人で。そこの食い違いがヒリヒリしました。

夢を叶えるより諦める方が難しい、とか、天童のお母さんは本当にソープだったとか、台詞や設定がところどころ面白いだけに微妙。
ワナビにとっては痛い話でした。。特に飲み抜けて店の外でシナリオかいちゃう痛さ!やりかねねええと思ってきつかったなぁ。

 

 ダンサーインザダーク 

 

一年くらい前に観賞。
弱い人がひたすら酷い目にあって悲惨な末路を迎えるという映画。
やっぱり、線路でくるくる回ったり、工場でみんな踊り出すといった、ダンスの場面が鮮やかで印象に残っている。胸くそ悪いところとしては、泣きながら隣人を殺す場面、それと、最後の死刑台に落ちるときのガタッという音を覚えている。
名作の誉れ高いがそこまでとは思えなかった。人生をひどいほうにひどいほうに自分で選んでしまっていると思うし、冷たい見方をすれば自業自得な点もある。
でも、セルマは、現実じゃなくて、歌や踊りの世界で生きてほしかった。彼女の幸せも安寧も希望もきっとそこにしかなかったと思う。

 

 ミザリー
ミザリー (字幕版)

ミザリー (字幕版)

 

 

筋自体は一本道の映画。でも怖い。ポールとアニーの表情が圧巻。どちらもすごく繊細な演技だったと思う。目付きひとつで感情ががらっと変わる感じというか。
アニーを殺したあとどうやって逃げおおせたのかも知りたかった。むしろ彼女を倒したとしてもそこから町までどうやって行くのかがずっと気になってたので、ショートカットされて残念だった。

アニーの愛してるは全く愛ではなくて、自分の好きなもの、自分に都合の良い存在が好きっていうただそれだけのことなのだと思う。
ただ、穏やかな彼女は本当に優しそうで魅力的に見えたので、複雑でもある。
こんなに毎日世話をしてやってるのに何でまだわからないの? っていう台詞は、なんだかくるものがあった。彼女の目には相手が映ってないのだろうか。ポールの言動が明らかにちぐはぐでも、彼が都合の良い甘い言葉を言っている限りはころりと信じているのも、実際は自分の願望しか目に入ってないせいではないか。
無理やり小説を書かせて、足を潰して、でも自分はちゃんと相手に尽くして世話してあげてると思ってるから、感謝しない相手は裏切り者で恩知らず。程度の差はあれ、こういう人って意外とたくさんいるような気がした。
何気に愛とは何かって考えさせられる映画。

 

桐島、部活やめるってよ。  

 監督さん好きでやっと見れました。面白かった。
終わり方、白に反転して黒でロールが流れるのも含めて綺麗でよかったです
ED曲はちょっと蛇足感がありました、映画に比して熱すぎませんか?あれ
視線の使い方がとても面白かった!一つのクラスの中で無数の視線が飛び交って、誰かが誰かを見るというそれだけの行為に重い意味がこめられている。高校っていう世界の規模の小ささ、敏感さがよく表れていました。
最後の映画部の子と、野球部やめた子の和む交流が好きです。
桐島についてじゃなく、桐島が部活をやめた理由について語っていく映画でした。
起伏は少なく、映像の引力ありきのストーリーだなと思いました。こまぎれに変わっていく視点とか、青みがかって幻想的な感じの風景とか。
狭い狭い世界で 誰かが部活やめたってだけのことがこんなに大事(おおごと)になるような小規模な世界で生きる。
自分は凡人でまわりも凡人で、素晴らしい才能もなにも持ってなくて、それは悲しくて傷つくけど、それも当たり前のことでしかなくて普通の大人になる。女だって友達だってきっとみんな下んないんだよね。
桐島が部活やめた理由もきっとそこにあるんじゃないかな。
まだ学生時代の傷引きずってる人にはきつい映画なんじゃないかなと思います。サッカー見学してるときの手持ちぶさたな感じとか、ギャルっぽい子が人によって声色変える感じとかリアルすぎて。。女の陰キャ出てこなくてよかったです…。
気になったのは、リサ老けすぎじゃない???&巻き髪綺麗すぎてリアリティなくない?&吹部の子浅はかすぎない?
あまちゃんの子がチャラ男と付き合ってんのリアリティありすぎてよかったです。

 

リリーのすべて
リリーのすべて (字幕版)
 

 

前半
見ることと見られること、その性差をめぐってTSへの目覚めを描く。とても興味深かった。女と男が逆転しているようなキャラクターの夫婦。
はじめてリリーになって人前に出たアイナーに付きまとう「男の」視線が印象的。

後半
女になってゆくことと夫婦の相反。
ゲルダの傍に居てくれる人がいて、本当によかったと思う。リリーはどんどん身勝手で美しい存在になってゆくが急ぎすぎたためなのかその命は蕾で潰える。
ゲルダの包容力、懐の深い愛が印象的。

映画そのものが、1シーン1シーンが妥協せず非常な美しさをもつものとして作られていた。「見られる」ことをかなり意識して撮られたものと感じる。
女が「見られる」存在だとして、では映画とは、観客とは何か。そんなことも考えさせられた。

 

ふがいない僕は空を見た
ふがいない僕は空を見た
 

 

永山絢斗くんと窪田正孝くん。
どっちもすごくはまってました。

母親失格とか父親失格とか言ったって子供は現に生まれて生きてる。

僕たちはこの生を本当に自分で選んだか?

 

本当の作家 J.T.リロイ

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すみませんこれだけDVDが発売されてなくて生書きです。同じ映画を見に初めて劇場に二回行きました。本人の講演(女王蜂アブちゃんとの対談)も見ました。

1回目に見たときすごいクラクラして感情が溢れ出して気持ち悪くなって喫茶店でひたすらノートに色々殴り書きしました。内容ひとつひとつが自分の全てに訴えかけてくるような感じで…ローラが他人だと思えなくて、辛くて羨ましくて怖くて哀しかった。DVD出たら絶対買わなきゃいけないんだけど、みるのも怖いって感じ。

 

 ベストセラー 編集シャパーキンズに捧ぐ

 

 結構好き。
他のかたも書いてるように、初作から二作めにかけて二人だけで作り上げていくところはテンポが良く爽快で楽しめた。
父と子のテーマと、父を探すアメリカ?みたいなテーマはもっと深く相関しあってもよい気がした。薄味。
フィッツジェラルドヘミングウェイがでてきてアメリカ文学好きなひとは面白いかも。
トマス・ウルフはにこやかで隙が多くて人好きするけど、ひとのきもちがわからないところもあったんだなあと。
パーキンズの淡々とした演技が好きです。

  

東京ゴッドファーザーズ
東京ゴッドファーザーズ
 

 

パプリカが難しくて構えていたがそんなことはなかった。今敏らしさも随所にアクセントとしてつけられる。
2003公開で時代を感じる部分はあったが、クリスマスにふさわしいファミリー映画だったと思う。下ネタもないし…。
キーワードは「偽物」。彼の中では偽物と本物が、現実と幻想の関係のように入り混じり、交差しあうものなのだろう。エンジェルのメタファは好き。オカマも、男と女のあわいで、今敏の中ではメタファー的存在なのだろうと思った。
泣いた赤鬼のくだりはちょっと意味不明だった。
今敏入門編、って感じ。深読みしようと思えばいくらでも。女の子と父親の関係が好き。

 

ストロベリーショートケイクス

 

好き。
最初から惹き込まれたし、撮り方や構図、光なんかも素敵だった。
女の人の生活を見るのが好きだから、その欲求を思う存分満たせて嬉しい。
台詞が嘘臭い感じはやっぱりしたけど、雰囲気はとてもいいと思った。

塔子さんが一番好き。一番演者の雰囲気と役が合ってると思ったら原作者本人。嘘やろ。
ちひろとお互い嫌いっていいながら手を離せないで、降り遅れるシーンがこの映画でいちばんの救いで、よかった。
正反対の女二人で仲良くやってほしい。

秋代さんはエロくて素晴らしいがしている恋がバカすぎる。
でも狂気的に惚れ込んでいる相手の子供を身籠れたのだから幸せだと思う。彼女なりの最高の幸せの形を掴めたようなのでよかった。

 

サルトルボーヴォワール 哲学と愛
サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 [DVD]

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音楽・美術・雰囲気ともに好きだった。静かで淡々と綺麗で、スッと見れる映画だと思う。
ボーヴォワール役の人が綺麗でほんとに見惚れた。最所はやっぱり欺瞞では、とか思ったけど、だんだんこういうのもありなのかなって思えるようになった。お互いがお互いにとっての唯一無二であり続けることを追求して生涯を貫いたかたち。ああやって結婚もセックスも関係なく微笑みあい、一緒に歴史をつくり、雑誌の表紙を飾り、お墓に入る異性がいるって凄い。
お母さんの変化がよかった。
カミュが出てきてときめきました。

 

百円の恋
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安っぽさを楽しむ作品。
みんなクズい。安藤サクラ新井浩文もリアルすぎた。
自分を「百円の女」だと思いつつ、それなりに努力してゆく様がよかった。
打ち込めるものを見つけるだけで、人は変わるんだなと思った。

 

 

他に、アメリこの世界の片隅に、ララランド、ムーンライト、エターナルサンシャイン…なんかも見たけど、私はそこまでよくはなかったです。

後半はもっと前に見た映画をまとめます。

読んでいただいた方、ありがとうございました。