にしのひがしの

小説家志望の24歳女が本の感想を書いてゆくブログ。

おんなのこきらい(2014)

 

 

 

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意外とよかったー
すごく性格が悪い女の子のはなしです。女の子のどろどろな映画みたい気持ちになって。主人公の子がだいぶ苦手なタイプで最初はウッ…てなった。でもちゃんと痛い目見ていて、中盤からは共感できるところも出て来て楽しめました。
主人公キリコは、自分の可愛さを武器に生きていて、男の人なんかすぐに落とせるし、人生それでいいって思ってる。マカロンやケーキといった可愛い食べ物を大量摂取して吐くっていう、いわゆる摂食障害で、病的に「可愛い自分」に囚われている。

 キリコがこんな性格になったのは、可愛い可愛い言われてちやほやされちゃうからだと思う。街を歩けば即ナンパされてるみたいだし。「女の子なんてかわいくなきゃ誰も見てくれない」って発言して、同僚の女性に呆れられても気にしない。女の子はかわいくなきゃ〜っていうのは、実際世の中がそう思っているというよりは、キリコが自分自身を見くびっているから出る言葉だと思う。私の中身を気にする人なんかいないの、っていう。そう考えると、キリコの顔だけ見てちやほやして適当に付き合ったりしちゃう男の人たちが一番罪深い、ともいえる。 

 

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そんなキリコが仕事先で出会ったコウタに「そんな顔してて疲れませんか」とかいろいろと厳しいことを言われる。それからキリコが何回か押しかけて、だんだん仲良くなる。ここは、ちょっと、キリコが結局は女の武器を使ってコウタをなんだかんだ懐柔?籠絡?していく感じにも見えてもやっとしました。でもここでキリコはともかく、初めてそのままの自分を見せられる男の人と仲良くなれた。
話が面白くなるのはこのへんから。キリコはバーのマスターが好きなんだけどセフレ状態だった。そんな中新しく入ったバイトのサヤカに彼をとられそうになる。だけどその子もメンヘラで、いろんな男と寝ていた。清楚系のキリコとは違う、活発で親しみやすいタイプ。メンヘラビッチVSメンヘラビッチってなかなか新しくないですか?? よかった。このへんからだんだんキリコの素が見えてくる。失恋して髪を切ってからはすごくいい! ショートカット、ゆるふわロングより全然似合うよ。

印象に残ったセリフ

・「かわいいっていうか、かわいそう」
キリコが考案したアクセサリーに対してのコウタの言葉。アクセサリーに対してのようで、キリコ自身への意見にもなっている。可愛く見せることしか考えないなんて、かわいそう。

・「そのままの自分を見せてなくなるものなんて、最初からないんだよ」
これもコウタの言葉。さらっと言ってるんだけどいいセリフ。キリコは「可愛い自分」…「可愛い表情」「可愛い仕草」「可愛い言い方」で、自分を飾っている。でも「可愛い」を、たとえば「頑張ってる」とか「弱い」とか、なんでもいいけど、ちがう言葉に入れ替えると、少なからずみんなやってることになる気がする。「最初からない」って、そんなふうに諦められたらいいよね。

 

・「あなたが好きなの。あなたに好かれるなら、世界中の他の人に嫌われてもいいの」
キリコがバーのマスターに言ったセリフ。使われがちな言葉だけど、これって裏を返すと「あなたに嫌われたらもう他に何も無い」っていう、あやうい意味だなあと。キリコの言い方を聞いて気づいた。

 

・「好きでもない女の子に可愛いなんて言わないでよ」

ニュアンスこんな感じ。これはすごく普通にそうだなって思った。それで、ずっとキリコのことを可愛いさばっかり追って…って思ってたのに、どうせなら可愛いって言われたいし、可愛いって言われたら期待するなって思った。だとしたら別に、キリコのやっていたことは、発展系であって、ある意味では筋が通っている。

 

キリコ役の女優さんが可愛くないみたいなレビューが結構ありました。確かに設定みたいな絶世の可愛いではないけど、泣きの演技がすごく上手くて。最後まで見て、この女優さんでよかったと思いました。「清楚系メンヘラ」感も絶妙だった。服の振り幅が面白かった。
個人的には、ああいうオチでよかった。

 

キリコは「私にはカワイイしかない」「何にも無い」って思う。そういうときに「キリコちゃんには何があるの?」って聞かれる。自分が唯一持ってると思い込んでるモノ。それを無くすっていうのは、怖い。仕事しかない、お金しかない、なんでもいい。それを削ぎ落としたら何もない。キリコは映画の最後に、ナンパ男に「君カワイイね」って言われて「はい!」って答える。答えてるけど、それ以外何もないってことに向き合ってから、回収した「それ」は、以前の縋るもの、執われるものから、自分の基盤のようなものになってるのかもしれない。そういう体験をしたキリコは、単に恋が実るより、確実に成長していた。


音楽もポップポップで、歌詞にちょっととげがあって、映画と合ってました。ふぇのたすさん。。
素のキリコは、変にウジウジしたり群れたりしないのが見ていて気持ちよかった。本当のところは結構失礼で、飾らない、言うことは言う性格なんだと思う。