にしのひがしの

小説家志望の24歳女が本の感想を書いてゆくブログ。

邦画『恋の門』(2004)感想

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みた〜〜〜
すごく漫画感のある映画だった。あえてなのかなと思う。終わり方の軽さも含めて、あえてペラペラさを残している感じがした。これを軽妙ととるか軽薄ととるかは、見る人によると思う。
最初は大丈夫かな?って思ってたけど、恋乃の借金発覚の下りからすごい面白くなった。主役がイイと思う。松田龍平の「変な男」感と酒井若菜の「変な女」感が合ってた。門はぱっと見変だけど案外まともで、恋乃はぱっと見まともだけど案外変。そのあたりのキャラクターのバランスが絶妙。
セリフ回しが面白いですね。最初の会社のネチネチ男もマスターの毒舌もくすっと来た。恋乃がキレるところがいちいち好きです。同人誌で1000万稼いでるって嘘だったんか。。信じたじゃねーか。。でも言われてみればあんなのそんな売れるわけないか。、恋乃の絵柄とか作風のさじ加減が絶妙ですね。掲示板クッソ荒れてるのも面白かった。そういえばなんか書き込みで煽ってる場面あったなあ。地味に伏線だったのか。
門が初めて描いた漫画であっさり受賞しちゃわないとこがよかった。そんなのただのジャンプだもんなーって。あの結果で「ヒーローとヒロイン(トロフィー)」じゃなくて「ダブル主人公」なんだなって思った。『バクマン。』とかは同じ漫画家目指すものでも、ヒロインは結局のところトロフィーだよね。恋乃はただの賞品にするには惜しいキャラだよなあ。ただのコスプレイヤーでもあばずれでもなく。絶妙な感じ。
藻鞠田やっぱ監督か。。。なんか普通に俳優さんでもよかった気が。。何となくね。本人の雰囲気がちょっとかっちりしすぎてるかなあって思った。映画全体としては、ちょっとクドカン風ではありつつあそこまで会話劇ではなかったね。比較的どこか淡々としているというか、ちょっと距離を置いて見れる感じがあって、個人的に居心地悪くはなかったです。クドカン作品は良くも悪くも巻き込まれすぎてなんとなく疲れてしまうので。
門と恋乃は幸せになってほしいですね…。熱すぎもせず冷めすぎもしてないテンションがストレスなく見れる。キスしてるシーンで思ったけどなんかこの二人肌質が似てる。肌色?かな。私にそう見えただけかもしれないけど、後ろで流れた「粒子は同じものでできている」って言葉がそれで際立っていていいなあって思いました。それは映画ならではの表現だなと思うので。

 
あの〜恋乃の信者の人?信者の人の最後のセリフがなんかやけにキマってて好きです。「王道からの脱出ーそれが恋乃の本質よ」みたいなやつ! こう、「ボロクソ言ってるけど本当に恋乃の本質を知ってるのはわたし、恋乃の良さを一番理解できるのもわたしなのよ」って感じが! なんか燃えました。恋乃も外側から見てるとだいぶわかりにくいキャラだからよかったのかもしれません。歪んだ信者のああいう愛情ってかなりメンドくさそうだけど、一番良い部分があそこででていた気がする。
男性的にはメジナってグッと来るのかなー。喋り方がわざとらしすぎてあんまり好きになれなかったな。一癖二癖あるなと思いきや十三癖くらいあったね。双子という謎の設定も面白かった。あの人こそ未消化の部分多すぎた。結局何で生計たててるんだ? 二期というか恋の門2あるならあの人の掘り下げくるよなあ。息子の方もいいキャラでしたね。いやそもそもそこにいると誰も思わなくない?一人で笑ってしまった。子役上手かった。憎たらしさが自然だったなあ。憎たらしいこと言いたい年頃だと思いきや普通に大人びてるのかなあとはっとさせられる。「子供の言うこと聞いてんじゃねーよ!」よかったな〜〜。門と一緒にいるの可愛かった。嫌ってると思いきや甘えてると思いきや叱咤して。いいキャラ。
片桐はいりカップル。天狗おもろかった。あのSMプレイ?の店主っぽい人もそうだけどちょいちょいインパクトのためか顔知れてる人使ってますね。良くも悪くも「ウケ」を計算して作られてるんだなと思いました。

個人的に、こういう映画で作中の人が創作してるシーンってすごい好きで。三人で頑張って漫画を描いてるシーンにすごく燃えました。ああいうバッバッバッて変わる感じツボです。カップ麺食べたりしながら頑張っている情景にロマンを感じる。音楽もアツくて楽しかった。同じ創作の部分が楽しかったのは『キル・ユア・ダーリン』かな。ノリにのってタイプライター叩いてるシーンがすごくテンション上がりました。 

 

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ジャケット画像見て思ったんだけど『恋と未来を掛けた漫画バトル』っていうのはあるけど、それはストーリーで。なんかもっと奥にあるものって違うなあって。ガチで恋と未来が懸かってるわけでは一応ないじゃないですか。編集者謎の急死を遂げたりするし、結果の出方も何となくアッサリだし。この映画の本質ってそこではなくて…何て言うか門と恋乃それぞれの夢の追い方というか、夢との付き合い方、なのかなと感じます。付き合い方…"漫画をどう描いていってどう向き合っていくのか"。それは門の漫画が石→紙とペンに変わったことからも分かります。ていうかそもそも石っていうのが謎すぎるんだけど、でも何か門には門なりに石でしか表現できないものが自分の内側にあった。それが紙とペンで描くことで、他人にも読める・認められる形に変わっていく。石から紙に変わるってところがすごく大事なのかなと思っていて。他の漫画家目指す漫画でそういうの絶対ないじゃないですか。そこはすごくオリジナリティがあるし、『恋の門』の独自の主題だと思う。自分のもっているものを人に示す為に、何を通せばいいのか。闇雲なパッションしかない門が「漫画家志望」に変わっていくということが大事なことなんじゃないか。

にしのが見てきた映画で他にコスプレとかコミケが出て来るのって『ふがいない僕は空を見た』かな。あの衣装がすごく安っぽい感じがあって。まあ題材が題材というか、結局あの映画でのコスプレHって現実逃避だから、そういう扱われ方は全く違うんだけど、なんだか衣装がちゃんとしてるように見えました。単に役者さんに似合ってただけなのかなー。

松田龍平さんの映画で印象強いのは『羊の木』です。あの人物は凄く謎が多くて、不気味、気持ち悪い印象が終始あった。口では結構いいヤツぽいけど、実際目に何が映っていて、それをどう受け取っているのか全く理解ができない感じ。顔ものっぺりとして目も口もちょっとのっぺらぼうみたいな雰囲気があって。普段からこの人こういう感じなのだろうか………ってうっすら怖くなった。あと『まほろ駅前 〜』も見たことある。そのときは松田龍平って人って知らなかったけど、役柄の雰囲気的には『羊の木』と似ていたと思う。反面『恋の門』では喜怒哀楽豊かで、トーンが明るい役を自然にこなしていて、こう言う役もできるんだーってなった。いやお前松田龍平のなんなんだよって感じなんですけど。ぱっと見変だけど普通のトーンのツッコミが意外と面白かったりして、センスあるんだなーって思いました。一番笑ったのは安部セイキ?の「ちんぷんかんぷんだ」ですね。いやあの人何者なんだろう。なんなんだろうあの空間。宗教?