にしのひがしの

小説家志望の女が本の感想を書いてゆくブログ。

海外文学

物理的にも精神的にも重い本

『北米探偵小説論21』という本を読んでいる。図書館で偶然見つけたのだが、圧巻の1200ページ越え・しかも二段組みという「文量」を誇る。 北米探偵小説論21 作者:野崎六助 発売日: 2020/06/20 メディア: 単行本 単著としても圧倒されるんだけども、この本の…

kill your darling(2013) 感想

ビートニクスを代表する作家であるアレン・ギンズバーグ(ダニエル・ラドクリフ)と、友人ルシアン・カー(デイン・デハーン)の大学時代を描いた、実話にもとづく映画です。他にもケルアック、バロウズなどが出てきます。 ずっと見たいと思ったけど昨夜Netf…

2018年7月〜8月に読んだ本

7月〜8月に読んだ本で、記事を書いていなかったものをまとめました。 (案の定)長くなりましたが…。一冊あたりは短いので読んでみてください。 優しい鬼 レアード・ハント 奴隷制があった時代の、中西部(ケンタッキー州シャーロット郡…『パラダイス』)…

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 感想

読みました。 なんか、すごーーくモヤモヤしました。これはダンサー・イン・ザ・ダークを見た時の感想に似てる。 レビューを見るとみんな褒めてるのも似てる。 まず、ストーナーにはもっとやれることもやるべきことも、あると思った。 周囲を幸せにする努力…

読んで、訳して、語り合う。 都甲幸治対談集

読みました。おもしろかったです。 喋ってる内容は結構難しいことなんだけど、話し言葉だからするっと読めて、わかりやすいです。 作家さんとか思想家?さんの対談ならよくあるけど、翻訳者さんの視点からの対談って初めて読みました。海外文学を中心に、現…

『高い城の男』 P.K.ディック 感想

頑張って一週間くらいで読みました。読みましたけど。 論点というか、主眼はどこなのか混交している印象が強い。ぼやけている。 ヒトラーとかユダヤ人のことなのか、易経のことなのか、政局のことなのか、戦勝国と敗戦国間の人種的軋轢のことなのか、謎めい…

アンナ・カヴァン『氷』感想

読了しました。 薄い本だし、訳も自然でつっかえるところもなかった。 難しいようでいて単純な話なんだろうなと思う。 こういう話を読むときに、何かと何かがイコールだとか分析して、関係図とか、一覧表を作ろうとしたがる人がいる。たとえば芥川龍之介の『…

ウルフ「灯台へ」感想

ご無沙汰してました、にしのです! 閲覧有難うございます。先日ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」を読み終わりました。初ウルフ作品でした。 灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1) ヴァージニア・ウルフ,ジーン・リース 河出書房…

男と女と「楽園」としての南の島〜モーム『月と6ペンス』

5日ぶり(?)です。お久しぶりです。 この5日でバイト始めて辞めました。。時間ができたので、また今日から更新していきたいと思います。今日は七月に読み終わっていたモームの「月と6ペンス」のレビューめいたものを書いてみます。宜しくお願いします。 …

殺人を犯す青年たち〜「太陽がいっぱい」パトリシア・ハイスミス

さて、今日は「太陽がいっぱい」の主人公・美しき犯罪者にして、大胆かつ繊細な24歳の青年、トム・リプリーについて書きたいと思います。映画は見てないです。最近「キャロル」が話題になって、女性同士の恋愛って珍しいなあという感想を抱いてたくらいで…