にしのひがしの

小説家志望の24歳女が本の感想を書いてゆくブログ。

「怪盗グルーの月泥棒」感想〜ミニオンとまっくろくろすけ・他

 

おはようございます。にしのです! 昨日ミニオンズを初めて見ました。感想を書いてきたいと思います。

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えっと、まず、めちゃめちゃ面白くてびっくりしました。ちょっと非の打ち所が、ないレベルですね。
ディズニーのズートピアとかシュガーラッシュとか、ベイマックスより私はいいと思いました。
なんて言うか…バランスがいい。
キャラクターがいい。
動きがいい。
たとえば孤児院のおばさんとか、グルーのお母さんとか。遊園地のやる気ねー従業員とか、そういう人たちがすごくいい造形をしている。一目見ただけでこの人ってこういう人なんだろうなってわかっちゃう。しかも彼らが「動く(animate)ことで、喋り方、表情で、その第一印象をいい具合に裏打ちしたり、広げたりする。リアリティとデフォルメのバランスが良い。
ミニオンも、あれ、私、まともに喋らんと思ってなかったです。メインキャラの3匹が喧嘩したりシニカルなこと言ったりして、ちょっと人間関係の錯綜とかあって、恋物語とかあって、わちゃわちゃしてるもんだとばっかり思ってたら、違うんですね。いい意味で没個性的で、でもしっかりちゃんとそれぞれ人格とか人間関係とかあるぽいんだけど、話の進展を煩わすほどのものではない。いい意味でいたいけというか、無邪気というか。ミニキャラっていう範疇を崩すことなく、でもキャラクターとしての仕事はきちんとしてます。いや、凄いですね、この作品。あの子たちの言葉が無意味なものでも、彼らの考えてることとか、やりたいこととか、感じてることがわかるって、スタッフ達のアニメーションの可能性への挑戦ですよね。あの表現力のクオリティなら、声ついてなくてもわちゃわちゃやってるのをずっと見てられる。「動き」だけで、あらゆる可能性と物語を魅せられる。

思ったことをつらつらと。
まず「怪盗」がいいですね。しかも、ちょっとファンタジックな世界観なのに、銀行の融資とか転職活動とか履歴書とかそういう妙に現実的な言葉が出て来る。最高にイカしてるのは、ベクターがポップコーン食ってwiiやってるところ。えっなんかこいつYoutuberみたいな暮らししてる…って思って面白かった。あれが現代の成功者のあり方なんやなーと思って。非常に現代的な子供の感覚に立って作られている気がしました。「怪盗」もいろいろあるけど、グルーはちょっと「かいけつゾロリ」ですよね。

 

印象的なシーンは結構あります。なんていうか、仕草への執念を感じました。ひとつひとつの、本筋には関係ないし、特に意味もないような小さな仕草。「メアリと魔女の花」でも感じたんですけど、アニメーションってそういう小さな動きひとつが大事なんだなって。

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プロデューサーのインタビュー記事を見ていたら、宮崎駿について人生で最初にみたアニメーション映画といっていて、ちょっと納得はしました。

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でも、日本人向けのメディアのインタビューで日本のアニメのことについて聞かれて、宮崎駿の名前を出さないのも野暮って感じはするから、どれだけそうなのかとかはわからないけど。でも、なんて言うかちょっと思い出すところはあって。
私がすごく好きだなって思ったのは、グルーがテレビ(テレビ電話かな)をつける際に、リモコンが反応しなくて「アッ! アッ!」て言いながら何回か押し直してるところがあるんですよ。あれって本当に無意味というか。なくて済ませても別に誰も何も思わないシーンなんですけど。あれが出ることで、グルーがお父さんとか、親戚のおじさんとか、そういう男性と被って来て、グルーに対してもすごい親しみが持てるんですよね。いい意味でのデジャブ、追体験がある。
無意味だけど人間味が薫ってくる仕草ってジブリにも結構あって。最近「ハウルの動く城」を見直したので例に出させてもらうと。

 

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ソフィーが飛行機の止め方がわからなくて、思いっきり城に突っ込んで来るシーン。マルクルがソフィーを見つけて思いっきり抱きついて、ソフィーがそれを抱きしめる。その仕草の過程に、マルクルを一旦抱きしめてから、持ったままの飛行機のハンドルに気づいて、一瞬それを見て、後ろに放り投げる。あの一瞬、なくてもよいもの、なくても別にどうということもない動作を入れる。そのことで、ソフィーがどんなに必死になってハンドルを握っていたか、駆け寄って来るマルクルを一も二もなく抱き止めようとしたかっていうのが言葉にするよりもわかる。他にもちょっと間が抜けた仕草への親しみも募りますし、後ろに放り投げるっていう豪胆さもそう。すごくいろんなものが無意識のうちに情報として伝わってくるんですよね。私たちがアニメキャラクターに対して抱く「親しみ」って、分解すると結局そういう無意味にも思えるような仕草から来てるんじゃないか。
あと、子供としてのリアルさも凄いなと思いました。序盤の方で、末っ子ちゃんがグルーに冷たくされて「あ、泣くかな?」ってとこがあるんですよね。多分普通だったら泣かせるんですよ、あそこ。それでグルーが困って、ああ泣きやめってなだめようとする。でもそこで彼女息を止める。お姉ちゃんが「息を止めて抗議してるの」って補足する。あそこがすごく印象的でした。私もああいうことやってた! と思ったし、今改めて見るとなんでそんなことしてんのwwwって思う。でも、自分を傷つけることが親とか大人への脅迫になる年齢だからするんですよ。あそこは凄いリアリティがあって、監督とか、身近な人の娘さんがよくやってたことなんじゃないかなって感じました。きっとそうだと思うんだけどな。ディズニーカートゥーンの女児って、たとえば「シュガーラッシュ」の女の子にも感じていたことなんですけど、なんかすごい婀娜めいてるところがあって、ちょっと落ち着かないんですよね。あの子は女児ってくくりでいい…んだよね。

 

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ちょっと思ったんですけど、ミニオンズってまっくろくろすけ的ですね。没個性的で見分けはつかないし、言葉もわからないんだけど(でも彼らだけで通じる言葉はある)、でもよく見てればそれぞれの人格とか人間関係はありそう。目が大きいのもそうですね。

そう考えると、グルーがミニオンズを一人一人識別してるときのワクテカ感て、「千と千尋」でかまじいがまっくろくろすけを見分けてたときのワクテカ感と似てたかもしれない。「この子達見分けられるものなんだ…!」的な。「もののけ姫」の「こだま」ともちょっと似てるかもしれません。

 

「モンスターズインク」にもそういう有象無象のモブキャラはいたような気がするけど、やっぱちょっと感覚はアメリカンなところがある。それぞれ個性が強くて自己主張も激しくて、見た目とかで差別とかそういうの盛り込みがちっていうか。それは「ドラマ」ではあるかもしれないけど、「なんかわちゃわちゃしてて癒される」って感覚とはまたちょっと違うところがあると思う。「悪役」とか「友達」「摩擦」「軋轢」「和解」みたいな、シナリオに食傷してるところを癒してくれますね。

 

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この記事ではミニオン誕生の経緯について色々書かれてて興味深いです。「サイレント映画の遺産」っていうのは理解できる。私が冒頭で書いてた部分もそれかなあと思います。あと「デリケートなキュートさ」、って言葉がちょっと面白いですね。単なるキュートさではないということ。ここではミニオンの前身として「トイ・ストーリー2」の「緑色のエイリアン人形」があげられていますね。

感想に戻ります。

この映画のあえて説明されてない感も好きです。ミニオンズがシリーズものってことはなんとなく知ってたから、私これ続編のほうなのかな…第1作目ではグルーとミニオンが出会った過程とか、よくわかんないこの犬?を飼うようになった理由とか、グルーの一族末裔としての苦悩とか、そういうのが描かれてるのかな…って思いながら見てたんですよね。いや、それにしても2作目から見た人にもわかるようにうまく表現してるなー、すごいなー、みたいな。見終わったあと調べてこれが一作目って知ってびっくりしました。
「既成設定の海」に投げ込まれる楽しさって、人間あると思ってて。例えば壮大なファンタジーものとかそうですよね。こういう伝説があって、こういう地域間の対立があって、こういう人間関係とか組合があって、みたいな。でも最近の作品って結構一から説明しがちじゃないですか。「おめでとう、君が勇者だ!」とかやって、キュウべえ的な水先案内人がきて、いろいろ説明してくれて、一人この世界をよく知ってる仲間が現れて…みたいな感じの。ああいうの、いいんだけど、ちょっとだるさもあります。でも「規制設定の海」に視聴者をついていかせるためには、やっぱ絶妙な差し引きのセンスが必要です。ナレーション挟んでいちいちやってもいいけど、やっぱそれだと冗長になりがちだし、やりすぎたって意味わからんって言われちゃうし。それを児童向けのアニメーション作品でやるとなると尚更そうなんじゃないかと思う。だからやっぱりバランス感覚がすごくいい人が作ってるんだなって思った。

他気になったところとしては。クッキーマシーンが映画泥棒感すごかった。あれは…確信犯じゃないよね。たまたまだよねきっと。後続のやつは違う制服だったし。劇場で映画泥棒のくだり見てからの人絶対笑ったんじゃないかな。
あとジェットコースターのVR感やばいね! 子供あれ絶対喜ぶよね。ジェットコースター乗りたいときにミニオンみたーいとか言いそう。普通にノートパソコンで見てたけど、浮遊感にちょっとおえってなったし。いいですね、ああいう遊び心は。
あとは、感じの悪い孤児院のおばさん、って鉄板テーマなのかもしれないんだけど、すごくいいなあと思った。彼女もほとんど説明はされてないのに、きっとこうでこうでこういう人なんやろな…って思う。絶対なんか…ああいう系ですよね。こういう「ふまえてる感」は心地いいところがありました。個人的には(全然系統は違うけど)、ティム・バートンの「Stain Boy 」を思い出したりしました。

 

映画見てるときは可愛い可愛い言って見てたんですけど、それだけじゃあんまり読みがいがない記事になっちゃいそうなので、少し掘り下げて考えてみました。ミニオンまっくろくろすけはわりといい線いってそうな気がします。


あ、それと、前にあげた「人生に、文学を。」の記事をツイッターで公式アカウントさんにRTしていただけました!

 

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記念のスクショ。
昨日とかも更新してないのにアクセス数があったので、きっとこのおかげなのかなと思います。公式アカウントの中の方ありがとうございます…!
ぼちぼち風邪も治ったので、また近いうち更新したいと思います。よろしくお願いいたしますー。